縦型動画広告は横動画に比べて効果があるの？という研究。

2021年に行われたGhent Universityの研究では、スマートフォンを使った縦型動画マーケティングの効果について、大規模なフィールドスタディと2つの実験研究を通じて詳しく調査しました。

その結果、縦型動画広告は横型動画広告に比べて、消費者の興味を引き、エンゲージメントを向上させることが分かりました。

具体的には、縦型動画はスマホユーザーにとって視聴が容易で、理解しやすいため、広告メッセージがより効果的に伝わることが示されました。

また、この効果は視聴者の年齢によって異なることも確認され、特に若年層で強い影響を及ぼすことが明らかになりました。

背景

近年、スマートフォンの普及とともに、縦型動画が急速に普及しています。

従来は横型動画が主流でしたが、スマホユーザーの多くがスマホを縦に持つ習慣があるため、自然に縦型動画が好まれるようになっています。

実際に、スマホユーザーの94％がスマホを縦に持つ習慣があり、このために縦型動画がスマホでの動画視聴に最適なフォーマットとなっています。

これに伴い、企業も広告やコンテンツの制作において、縦型動画の活用を進めるようになっています。

方法

本研究は3つの異なるスタディで構成されています。

1. スタディ1 (N = 2,377)
   
   Facebookユーザーを対象に、縦型動画広告と横型動画広告の効果を比較する大規模なフィールドスタディを実施しました。
   
   このスタディでは、実際のユーザーに対して縦型と横型の広告をランダムに表示し、その反応を詳細に分析しました。
   
2. スタディ2 (N = 110)
   
   大学のキャンパスで、学生を対象に縦型動画と横型動画を見せて、どちらがより興味を引き、理解しやすいかを比較する実験を行いました。
   
   参加者は、既存の縦型または横型動画広告を視聴し、その後に視聴体験についてアンケートに答えました。
   
3. スタディ3 (N = 109)
   
   異なる年齢層の参加者を対象にしたラボ実験で、縦型動画と横型動画の視聴効果を年齢別に検証しました。
   このスタディでは、特に年齢による効果の違いに焦点を当て、縦型動画がどの年齢層において最も効果的であるかを調べました。

結果

1. スタディ1の結果
   
   縦型動画広告は、横型動画広告に比べて、ユーザーの興味を引く率が約62％に達し、エンゲージメント率も約69％に上りました。
   
   これは、横型動画の興味を引く率約49％、エンゲージメント率約59％と比較して、縦型動画がより効果的であることを示しています。
   
2. スタディ2の結果
   
   縦型動画を視聴した参加者は、動画を見る際にかかる労力が横型動画視聴者よりも約30％少ないと感じており、その結果、動画内容の理解もしやすいことが確認されました。
   
   さらに、縦型動画を視聴した場合、処理のしやすさが約13％高くなることがわかりました。
   
3. スタディ3の結果
   
   縦型動画の効果は、特に若い世代において強く現れることが示されました。
   
   若年層では、縦型動画の方が視覚的に見やすく、広告メッセージがより効果的に伝わる傾向がありました。
   
   一方、年齢が高くなるにつれて、縦型動画の効果はやや低くなることがわかりました。

議論

本研究の結果から、スマホ縦型動画広告は、消費者の関心を引き、エンゲージメントを高める効果があることが明確になりました。

特に、若年層においては、縦型動画が視覚的に処理しやすく、広告メッセージがより強く伝わることが確認されました。

このことは、スマホユーザーが普段から縦型にスマホを持って動画を視聴しているため、縦型フォーマットが自然であり、視覚的負担が少ないことが要因と考えられます。

したがって、企業はマーケティング戦略を立てる際に、ターゲット層の年齢やスマホの使い方を考慮して、縦型動画を積極的に活用することが重要であるといえます。

まとめとアクションプラン

2021年にGhent Universityで行われた研究により、スマートフォンを使った縦型動画マーケティングが、特に若年層において消費者の興味とエンゲージメントを大幅に向上させることが示されました。

これを踏まえ、企業はターゲットとする顧客層を明確にし、視覚的にインパクトのある縦型動画コンテンツを制作するべきです。

さらに、SNSやモバイルプラットフォームでの縦型動画配信を強化し、年齢層別の効果を分析しつつ、継続的な改善を行うことでマーケティング効果を最大化しましょう。